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MXでの生活 ⒈

優しい人にはメンヘラや依存体質の人が寄ってくる事が多い。
それに対して親身になったり同情を与えたり、優しくする。
与えられた側は、それに付け込んでどんどん依存していく。

そして、相手が疲れてしまって手を放す。
そしたら裏切られただの見捨てられただのと叫びだす。
立派な加害者と被害者の出来上がり。

白昼堂々、街中で怒鳴り喚き散らしている女と、疲れ切った男が
目の前のファヒータと、テーブルに散らばったサルサを間に挟み
言い合っている。周りの人は目もくれず、店員は客と話し込み
隣の犬は落ちたタコスを食べている

目の前の喧嘩の内容は知らないが
男女は、どこでも同じだな。と、
そんな姿を見ながらあたしは最高に晴れの日、
眩暈がするほど葉巻の煙を
一気に詰め込んで、空に向かって吐き出した

風に溶け込む煙さえ愛しく感じるくらいテンションが上がっている。
こんな日はBGMもかけず速度を上げて海辺に車を走らす。
すべてが愛に満ちる瞬間が好きだ。
このことを伝えなくちゃいけない。と変な使命感が湧く。
この景色を共有したいと思ってもここにはあたし一人だし。

現実や真実を見れば・知るほど酷くなっていく空想
もはや、ちょっとやそっとの残虐さより、薄化粧で漂ってる
どろどろとした人間模様のほうがよっぽどえげつない。

現実より作り物のほうがよっぽど美しい。
止まるところを知らない加工技術に、創作。
みんなどんどん現実を加工・偽装するようになって
元からそうであった様に振る舞う技も完璧
偽りだらけに疲れても、何が真実かすら判断できなくなり
何かを考えたりすることもメンドクさくなり、内向的な性格に拍車がかかる。
与えられた情報だけを自分の都合の良いように解釈・鵜呑みにする

こんなんだからあたしは海とか、変わらないものに救いを求めているのだろう
何も話さないし、考えなくてもいい
海の青さを眺めていると、何もかも忘れられる。あたしの現実逃避

あたしはある人を探していた
海沿いの180号線を過ぎ、ciudadvictoriaに着く頃には
人通りも明かりもまばらになっていた
「死の道」と呼ばれる国道101号から2ブロック程離れた宿に泊まる

噂によると、「その人」は24時頃、青い鳥の絵の描いてある
長い看板の靴の店の前に現れ、滞在時間は5分程度だという
この街には一週間程度滞在。その間に会えるかどうかすら解らない
まだ、ピューマとかの方が遭遇率はあるんじゃないかとか考えたり。
なんせ相手が本当に存在しているのか。生きているのかすら判らないから

大体一週間いたら二日。治安の悪い街なら毎朝、死体は見つかる
夜中から明け方に掛けて。1-4時の間に犯行は行われるらしい
あたしなんかがそんな現場に出て行ったら、一発で終わるだろう
そんなことを考えながら眠りに落ちる

朝から情報収集、撮影、調査。標高2000m以上にもなり、
酸素が薄すぎて窒息しそうな上に、頭痛・吐き気・鼻血の毎日
更に酒の回りも速い。お陰で節酒り日々が続く

探し人を見つけられぬまま四日目

殺伐とした街は、週末に向けるにつれ治安がより悪くなっていく気がした
昼間、道ばたで何かしら遊んでいる子供に声をかける
その女の子は赤い花を手に持っていたが、びっくりして落したまま
逃げて行ってしまった。そりゃあそうか。怪しかったか、あたし。

麻薬カルテル抗争の絶えないこの街・周囲近辺は
親を殺されたり、家族・親戚もろとも消されることなんてざらになっている

二年前、最初にあった遺体は、11-13歳位の女の子。
手には子供用の携帯と、ピンクのTシャツに何かしらのキャラクターが描かれて、下はショートパンツ。
その姿は、どこにでもいる小中学生の姿と何ら変わらなかった。
頭に銃を受けていたこと以外は。
母親は自宅玄関で同じく撃たれていた。
あたしは、娘の遺体を母親が見ることなく終わったのは
唯一の救いだなんて、すっとぼけた

その事が一気に蘇ったが、あたしはもうすでに感傷や同情を
シャットダウンし、自我を放棄することなんて簡単にコントロールできる位
頭がおかしくなっていた。越えたくない壁なんてとっくに越えていた

なんかの曲にあったように、こんな俺でも愛してくれるかい
って、両手広げて話しかけたくなる
あたし以外の誰かになることで、崩れそうになる何かを保っていた。

何日も、同じ場所で滞在していると外国人はスパイを疑われる
ジャーナリスト狩りなる現象も各地で起きていた。

もうね。人種とか、政治とか、宗教とか。
「混ぜるな危険」「触るな危険」なんだよ

異国の人種・違う思想が入ってくることで争いは起きる
異国の地の人間が入るとどうなるか
その災難がついにあたしに降りかかる

「洗礼と警告」
ホテル前にぶちまけられた血
このホテルに何日も滞在している外国人はあたしだけだ
見つかるのが早すぎたのか、目立つ行動はしてなかったつもりだった。
噂でしか聞いたことのなかった、お前を狩る。の警告
やばい。と声にも出せず
全身に戦慄が走り、部屋には戻らずそのまま車に乗り込み
これ以上ないスピードでアクセルを踏んだ

血を見、ありったけの憶測と最悪の事態を悟ってから
全てがスローモーションに見えた。
車までの距離が、遥か遠くに感じ、走る足は夢で追いかけられているかのように
もたついて、一向に走れないあの感じ。

車のカギが見つからず、部屋に残してきた可能性がよぎり
叫びそうになった口を必死で抑える
やっとの事でバックから見つかり、エンジンをかける。
ひたすら大通りを探し、本能的に北を目指した

車を壊されてなかったのと、部屋に戻らずに済んだことで
殺されずに済んだ。
としか考えられず、ひたすら走る

この土地の癖があって、逃げようと逃げ込んだ地が
更に地獄という事がある。アメリカとの国境に近くなればなるほど
治安も悪くなる。

少し冷静になれた頃、まさに火に飛び込む夏の虫となるとこだったと
踵を返し、MXCに向かって200kmほどガソリンが持つ限り走った
暗闇を避けるように海側へ

着いた先は、小さな村とも呼べる街のようなところだった。
砂漠に囲まれた、孤立した集落。ザ・メキシカンな感じ。
シティの方とは違って、色鮮やかに彩られた家などはなく、ダウンタウン
のような昼間なのに夜を纏った集落だった

日本の部屋は綺麗すぎる。
まるで自分を繕うようなインテリアに個性を誤魔化したり隠したりする
整いすぎた無個性さ。無機質さ。
それとは真逆に、余計な飾りはいらないとばかりに、荒れ果てたモーテルに着き、
500mlの水を一気に飲み干し、倒れるようにベットに横たわる。
それでも喉が渇いて仕方がない

ここまで来れば大丈夫。
と、外で鳴り響くパトカーのサイレンを聞きながら
脳裏に青い鳥の看板を思い浮かべながら
靴も脱ぐもできず眠りに落ちた











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プロフィール

sakyohidzuki

Author:sakyohidzuki
左京
S.58.9.28

いつまで経っても手負い。笑
この運動神経のなさで生き延びているのが
不思議なくらい。

現実には色んな事柄に束縛されてるのに
今まで以上に自我のまま進めてるのは
一種の諦めのようにも思う。

昔一番だったものは入れ替わり。
眼中になかったものに価値を見出し

攻撃系はすべて自分の内面に。
もちろん゛暴力゛は忘れずに。

時々感情のコントロールが出来なくなる
フラッシュバックに嗚咽が出るほど叫びまわっても
最期に行き着く場所は同じ。

知らず知らずに自滅しているのは
毎度のことで。

無関心に堕ちる前に
終らせたい事とか。

無様な姿を曝すのも
ここだけでいい


☆ポートレートモデル
再現VTR、MV、CM等々しれっと
いたりする。
ベストジーニスト2016一般部門
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応援&投票有難う!!