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Looking For Phantoms

手先が潰れて紅く爛れ、削げ落ちた少女。
柘榴の潰れた残骸と生々しい肉片とそれに相反した飽和状態の少女。

彼女の軽く屈曲しつつある手の平には何も無く、
唯、幻肢症の感覚に戸惑う事無く受容しているようだった。
それはまさに、「無垢の消失」を示唆するものであった。


装具を宛がわれ、強制的に『立たされた』鹿。

拘束具で無理矢理こじ開けられた花弁。

指を弦がつたい、張り巡らされた指先は、自由を失い、
それを恍惚としたバイオリンの弦が不響和音を奏でる。
残酷さと、そこにあるエロスは、視覚以上に感覚を揺さぶる。

髪の毛で編み上げられた洋服。しっかりと編みこまれたそれはまるで、
生命を司る一つの生き物の様に見えた。
人間の在るべき生命力。原点。本能。

ふたつの頭をもつ狼。左右に威嚇し、牙を剥くその足先には、
黒いレースにハイヒールを履いた仁王立ちの脚がのぞく。

脚は自然に。だけど権威を含んであるべきままの姿として勇ましく開かれていた。


その脚をあたしの視覚が捕らえた瞬間、
あたしは本能のまま、視覚より本能が早く痛覚として察知したように
心臓の一点を的確に射したような奥底からの表出。
これをなんと呼べば良いのか判らずと惑う。

全身より心臓が。直接的すぎる本能に振るえ、大きく揺れた。


そして呼吸が浅くなり、心臓が息をするように鼓動した。

あたしの感覚が解放されようとしてるのを感じ、あたしは危機感を覚えた。

それも、あたしが今まで気付かなかった。気付いていないフリをしていた感情。
今まで解放される事を危惧し、長い間、抑圧して封じ込めていた感情と思想がある。


余りに、残虐で、滑稽すぎて抑圧しつくして殺していた思想。
それを口に出す事も、
深く追求する事も許されない非道徳的な「思想」。



それが目覚めそうで、ソレから、あたしは目を一瞬背けた。
「これ以上、解放させないで。」と。


それが段々作品を見ていくうちに抑制が効かなくなり、
限界を越え、
流れる水の空間に足を踏み入れた瞬間、理性が抜け落ち、
あたしの意識は潜在記憶と本能だけになっていた。


九つの壁で覆われ、上下に鏡を設置した閉鎖空間。
そして、強弱の無い深く落ちる音色は、
共に体の自由を奪っていった。


堕ちる様な。挙がるような体感。
方向感覚を失い、自分がどこに立っているのかさえ判らなくなる。


深く、沈みこむ感覚は、まるで胎内の揺り篭の様だった。
潜在意識が甦り、あたしは深く安堵し、そして自然と涙が流れていた。


滝の様な水しぶきは様々に姿を変え、
登ったり降りたりを繰り返し。
また、激しく堕ちたり、ひとつひとつを確かめる様に弾け散る。

水の束が繊細に、細かく分岐する様子は、
人体の骨や細胞。
それが分岐し、裂け切断され、細胞分裂を繰り返しているようにも見えた。


人間の強さだとか脆さ。儚さを纏った「生」
それは様々な姿を見せ、

「絶対的な安心感」を享受する。

全てを覆い、優しく包み込む感覚にあたしは、本能レベルでの解放を感じた。

痛みから受容。受容から解放。解放から生命。そして本能へ。


調律的な呼吸から浅い呼吸へ。激しい鼓動から確信的に撃つ鼓動へ。



あたしの本能が、その作品に溶け込むように調和していく。
横一刺しに突き刺された白い髑髏。
その髑髏からは白い棘が満遍なく内側から表出し、その髑髏を回す棒は、
まるで生と死、輪廻をあるがままに生きる姿を映し出す。

骸骨の頂点からは血液が立ち上り、
そして髑髏を挟んで下側に溜まった血液は循環を繰り返す。
無機質に繰り返される生と死の境界と原点。

そして、白い空間に浮かび上がる繊維質な人体。
心の奥底から出てくる神経と精神を融合させた絶対調律。


欠落と形態。


無機質に交わる血と細胞。疑う事をしらず、プログラムされたままの遺伝子。


そして『血』の、強靭なる強さと深み。

『生命』の神々しい眩しさに眼が眩む。

あまりにも神秘的で、ごく自然な連鎖反応。
あたしはその『血』の強さに打ちひしがれ、動物としての死、終末を感じていた。

それがあたしの体を抉り、
あたしの細胞や神経、骨さえも粉々にする衝動となって侵食していく。


体から発する衝動に耐え切れず、その衝動はあたしの言葉に変わり、
絶対的な孤独に神経を支配される。
そこに何一つ精神的な、人間らしい知覚は無かった。


それを振り払う事が出来ず、現実と環境の拒絶。
自分以外の人間と接触する事の拒絶に姿を変える。
殻に閉じこり、頑なに人との接触を拒んだ。

この感覚は、今まで体感した事は無かった。
今迄隠れていた自分との対面に驚きを覚える。

痛みを全面的に感じて受容したい。生死を矜持したい。

本能を、解放させたい。



焦燥と混迷と戸惑いの中で、
逃げるように家に帰り、着いた瞬間に泣き崩れる。

自覚すらない魂の奥底からの悲鳴と共に泣いていた。

今まで抑圧していた感情や衝動、現実への悲観。


それが、解放され、取り乱す。


『受容。』

生命の前では人間の理性や知覚など、無に等しい。




それから苦痛から解放された様に、暫く泣き続けていた。

生命の、強さに、泣いていた。

「死」にしかしがみつけなかったあたしが、「生命」を強く願う。



あたしは、生きていたい。



『幽体(ファントム)の知覚』

まさに、それは自分の魂に向き合うべく存在する生命体。

その動きはやがて、解放へと示唆するものだと感じながら。
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プロフィール

sakyohidzuki

Author:sakyohidzuki
左京
S.58.9.28

いつまで経っても手負い。笑
この運動神経のなさで生き延びているのが
不思議なくらい。

現実には色んな事柄に束縛されてるのに
今まで以上に自我のまま進めてるのは
一種の諦めのようにも思う。

昔一番だったものは入れ替わり。
眼中になかったものに価値を見出し

攻撃系はすべて自分の内面に。
もちろん゛暴力゛は忘れずに。

時々感情のコントロールが出来なくなる
フラッシュバックに嗚咽が出るほど叫びまわっても
最期に行き着く場所は同じ。

知らず知らずに自滅しているのは
毎度のことで。

無関心に堕ちる前に
終らせたい事とか。

無様な姿を曝すのも
ここだけでいい


☆ポートレートモデル
再現VTR、MV、CM等々しれっと
いたりする。
ベストジーニスト2016一般部門
投票終了!
応援&投票有難う!!

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